カメラを断られた親と、開閉センサーという選択肢
「見守りカメラを提案したら、親に嫌がられた」
私がまさにそうでした。離れて暮らす母にカメラの話をしたら、「監視されてるみたいで嫌」の一言で終わり。かといって、電話にいつも出てくれるわけでもない母を、このまま放っておくのも落ち着かない。
そんなときに行き着いたのが、SwitchBotの開閉センサーです。
ドアや冷蔵庫の扉が開いたことを検知して、スマホに知らせてくれる小さな機械。映像は一切ありません。だから「見られている感」がない。カメラは即答で断った母も、これは「まあ、それくらいなら」と受け取ってくれました。
知恵袋でも、92歳で認知症が出はじめたおばあさんの見守りを相談していた人が、ボタンを押して警備会社を呼ぶような操作のいる機器は本人には難しいので、操作のいらないもののほうがいい気がする、と書いていました。寄せられた回答も、冷蔵庫や玄関のドアに開閉センサーを付ければ、電話以外でも最低限の生存確認ができる、というものでした(Yahoo!知恵袋より)。親に何かを覚えてもらう必要がない。ここが、カメラともスマートスピーカーとも違う、開閉センサーのいちばんの強みです。
この記事では、開閉センサーで「ドアの開け閉め」から親の暮らしをどう読み取るかを、設置場所ごとにまとめます。人感センサーとの違いや親への伝え方はそれぞれ詳しい記事にゆずって、ここは開閉センサーそのものの話に絞りますね。
SwitchBot開閉センサーの仕組み
開閉センサーは、ドアや窓が開いたか閉まったかを検知する、手のひらより小さな機械です。
本体と磁石の2つがセットになっていて、ドア枠のほうに本体、扉のほうに磁石を貼ります。磁石が本体から離れると「開いた」、また近づくと「閉まった」。ただそれだけの仕組みです。ややこしい設定はありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格 | 2,980円ほど(Amazon・公式の定価。2,000円台後半) |
| 電源 | 単4電池×2本 |
| 電池寿命 | メーカー公称で約3年 |
| 設置 | 両面テープで貼るだけ(工事不要) |
電池のもちは、メーカーだと約3年とされています。ただこれは1日の開閉回数などを決めた条件での数字で、実際には使い方しだい。「初期の電池は1年くらいで切れた」という人もいました。とはいえ数年に一度、単4電池を替えるくらいなので、手間はほとんどかかりません。
工事はいりません。私が実家に付けたときも、扉に両面テープで貼って、アプリとつないで、15分ほどで終わりました。母のほうで何か操作を覚える必要もありません。
見守りに必要なもの
そろえるものは、そんなに多くありません。
- 開閉センサー本体(2,980円ほど)
- SwitchBotアプリ(iPhone/Android、無料)
- 初期設定のときだけ、設置する人(あなた)のスマホ
親の家にいるあいだ、つまりBluetoothの届く範囲なら、これだけで扉の開け閉めを確認できます。
ただ、離れて暮らす親を見守るなら、たいていは外出先からスマホに通知が届いてほしいはずです。それには「SwitchBot ハブミニ」(4,400〜5,500円ほど)と、親の家のWi-Fiが要ります。ハブミニがセンサーの情報をネット経由で中継してくれるので、自分がどこにいても「今、扉が開いた」がわかるようになります。
実家にWi-Fiがない場合は、ハブが使えません。そのときはWi-Fi不要の見守りカメラのような別の手も含めて考えることになります。
設置場所で変わる、わかること
開閉センサーが教えてくれるのは、「その扉がいつ開いたか」だけです。たった一点の情報。でも、どの扉に付けるかで、見えてくる暮らしがまるで変わります。
親の生活で、いちばん気がかりなのはどこか。そこから設置場所を選びます。
玄関ドア - 外出と帰宅、そして「出たきり」
いちばん多い付け方が、玄関ドアです。
わかるのは、親がいつ家を出て、いつ帰ってきたか。開閉センサーには人の動きを拾う機能もついていて、「先に人が動いてから扉が開いた(=出ていった)」のか「扉が開いてから人が動いた(=帰ってきた)」のかで、外出と帰宅をだいたい見分けてくれます。
これが効くのが、認知症の心配がある親の見守りです。玄関に開閉センサーを付けて、扉が開いたらLINEに通知が来るようにしていた人は、外出の予定がない日に出ていこうとしたり、迎えを待って扉を何度も開け閉めしていれば、実家にいなくてもすぐ気づけると書いていました。付けるまでは毎週のように目的のない外出をしてしまっていたのが、それでほとんどなくなったそうです(見守りテック情報館より)。
じつは、「出かけた」の通知そのものより、そのあと帰宅の通知が来ないことのほうが大事な合図だったりします。いつもなら30分で帰る買い物なのに、2時間経っても帰宅通知がない。そういう「あるはずの通知がない」に気づけるのが、玄関に付ける意味です。
冷蔵庫 - 食べているかどうか
離れて暮らす親で、いちばん気になるのは「ちゃんと食べているか」ではないでしょうか。それを教えてくれるのが、冷蔵庫の扉です。
毎日だいたい決まったころに冷蔵庫が開いていれば、まあ食事はとっている。逆に、朝から一度も開いていなければ、少し気にかかる。91歳の義母に冷蔵庫と勝手口の開閉センサーを付けたという方が、こんなふうに書いていました。
あ、今日も普通に生活しているんだな。
noteより
開閉の通知が来るたびに、そう思えて安心する。冷蔵庫が開いた時間から、だいたいの食事の時間もわかる。「今日はご飯が遅かったんだね」と会話のきっかけにもなった、とありました。
映像で食卓をのぞくわけではありません。ただ扉が開いた、それだけ。でも「食べている気配」は、それで十分に伝わってきます。
薬箱・薬の棚 - 飲み忘れの気配
毎日の薬を飲めているか心配なら、薬をしまっている引き出しや箱に付ける手もあります。
もちろん「開けた=飲んだ」とは限りません。開けただけで飲み忘れることもあるし、その逆もある。それでも「今日はまだ薬箱が開いていないみたい」とわかれば、「お薬、飲んだ?」と電話する自然なきっかけになります。
見張るためではなく、声をかけるきっかけを増やすため。そう考えると、開閉センサーの使いどころが見えてきます。
そのほかの扉 - トイレ・寝室・郵便受け
付ける場所は、親の暮らしに合わせて工夫できます。
- トイレのドア: 朝いちばんにトイレへ行く親なら、その開閉で「起きた」がわかります。朝8時をすぎても動きがなければ、電話を一本。
- 寝室のドア: 就寝と起床のリズムを知りたいときに。夜中に何度も開いているなら、眠りが浅いのかもしれません。
- 郵便受け: 郵便を取りに出ているかの確認に。屋外になるので、防水だけ気をつけてください。
このあたりは「わが家ならどこが気になるか」で選べば大丈夫です。はじめから全部に付ける必要はありません。
付けて2〜3週間もすると、通知を見るのが習慣になります。平日の朝、職場の給湯室でお茶をいれていると、スマホに「8:20 冷蔵庫が開きました」の通知が届く。ああ、今朝も牛乳を出したんだな。それだけで、母がいつもどおりの朝をすごしているとわかって、席に戻れます。
人感センサーと迷ったときの分かれ道
SwitchBotには「開閉センサー」と「人感センサー」があって、どちらにしようか迷う人は多いと思います。
ざっくり言うと、開閉センサーは「扉」という一点で、親の"行動"をつかまえます。冷蔵庫を開けた、玄関を出た。どれも親が自分の意思でした動きです。だから「食べた」「出かけた」がはっきりわかる。
いっぽう人感センサーは、部屋という"面"で、そこに人がいるかどうかをつかまえます。リビングに一定時間動きがなければ知らせる、といった使い方が得意です。
つまり、こう分かれます。
- 玄関・冷蔵庫・薬箱など、特定の扉の開け閉めを知りたい → 開閉センサー
- リビングや廊下で、動いているか・在室しているかを広く知りたい → 人感センサー
人感センサーのほうが向いていそうなら、SwitchBot人感センサーで親の安否確認をする方法や人感センサーで高齢者を見守る方法に詳しくまとめています。開閉と人感を組み合わせた見守り全体の組み方は、SwitchBotで親を見守る方法のほうへ。
迷ったら、まず気がかりな扉ひとつに開閉センサーを付けてみる。それで足りなければ足す、で十分です。私も玄関の1個から始めました。
開閉センサーの設定と、外出先からの確認
「設定が難しそう」と身構えるかもしれませんが、開閉センサーは拍子抜けするくらい簡単です。
- SwitchBotアプリを入れる
- アプリでセンサーを追加する(Bluetoothでつながります)
- 扉に貼る
貼るときのコツは一つだけ。本体と磁石のすき間を1cmちょっと(30mm以内)におさめることです。離れすぎると、閉まっているのに「開いている」と誤検知することがあります。扉を閉めた状態で本体と磁石が近くに並ぶよう、位置を合わせて貼ればOKです。
外出先から確認するには、さきほどのハブミニが要ります。開閉センサー単体だと、Bluetoothの届く範囲、つまり親の家の中でしか状態を見られません。ハブミニを親の家に置いてWi-Fiにつなげば、そこから先はネット経由。自分が会社にいても電車の中にいても、扉が開いた通知が届くようになります。
通知は、SwitchBotアプリのほかにLINEでも受け取れます(IFTTTという外部サービスを使います)。設定は少し手間ですが、「LINEのほうが見落とさない」という人には向いています。玄関の開閉をLINEに流している例もありました(見守りテック情報館より)。
親への切り出し方は「映像がない」を軸に
開閉センサーのいいところは、なんといっても映像がないことです。撮られていない、というだけで、親の身構えはずいぶんゆるみます。カメラは即断られたのに「扉が開いたらスマホに来るだけ」なら受け入れてくれた、というのはよく聞く話です。
伝えるときは、「お母さんのため」より「私が安心したいから」。そして「これ付けるね」と決めてしまうより、「こういうのがあるんだけど、どう思う?」と一度たずねてみる。それだけで、受け取られ方が変わります。
ただ、映像がなくても油断はできません。センサーでも「見張られているようだ」と感じて、数カ月で親が自分で外してしまった、という例もあります(けんぽれんより)。付けて終わりにせず、「どこに付けるか」「どのくらい見るか」を親と一緒に決めておくのが、長く続くコツです。
切り出し方そのものにもう少し悩んでいるなら、見守りカメラを嫌がる親への対処法や見守りを切り出すタイミングと最初の一言が具体的です。「見せ方や見る頻度を親とどう決めるか」は見守りとプライバシーの配慮にまとめました。
まとめ|まず一つ、気になる扉から
開閉センサーは、カメラを立てずに親を見守るための、いちばん小さな一歩だと思います。2,980円ほど、電池で動いて工事もいらない。親に覚えてもらうことは何もありません。
大がかりな見守りシステムを一式そろえる前に、まずは気になる扉ひとつ。食事が心配なら冷蔵庫、外出が心配なら玄関。そこに一つ貼ってみて、通知が届く感覚をつかんでから、必要なら足していけばいいんです。
「今日も冷蔵庫が開いた」。たったそれだけの通知が、離れて暮らす不安をずいぶん軽くしてくれます。まずはその一つから、始めてみてください。
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