親にスマホを教えるとイライラ…私が見つけた5つの対処法

親にスマホの使い方を教える娘と母のイラスト

「お母さん、それ昨日も教えたよね」

つい、とがった声が出てしまう。言った後で「また怒っちゃった」と落ち込む。私は実家の母にスマホを教えるたび、これを何度も繰り返してきました。

普段は仲がいいのに、スマホのことになると自分でも驚くくらい語気が強くなる。同じことを聞かれる、メモを見ない、途中で「もういいわ」と投げ出される。そのたびにイライラして、あとから自己嫌悪でため息をつく。

この記事は、その「教え方」の記事ではありません。言い換えのコツや覚えてもらう手順は、別記事の親にスマホを教えるコツにまとめました。ここで書きたいのは、教えている“こっち側”の気持ち。イライラする自分と、どう折り合いをつけるかです。

先に結論を言ってしまうと、私がラクになった一番の理由は、「完璧に覚えさせる」のをやめたことでした。

私がたどりついた向き合い方を、5つ書いてみます。

イライラの正体

まず言いたいのは、イライラするあなたは、冷たいわけでも我慢が足りないわけでもないということです。

何度も同じことを聞かれて、平気でいられる人なんていません。

Yahoo!知恵袋にも、ふだんは親と仲がいいのに、スマホの操作を教えるときだけ自分でもびっくりするくらい感情的になってしまう、という相談がありました(Yahoo!知恵袋)。

わかります。私も、自分の口から出た声の冷たさに、あとで自分でぞっとしたことがあります。

じゃあ、なぜこんなに腹が立つのか。自分の中を分けてみると、理由は3つくらいに整理できました。

ひとつは、期待とのズレ。タップもスワイプも、私たちにとっては考えなくてもできる当たり前の動き。その当たり前が伝わらないと、頭では「初めてなんだから当然」とわかっていても、「なんで?」がわいてきます。

もうひとつは、親のほうもしんどいという事情。ずっと自分が教える側だった親が、いつの間にか子どもに教わる側になっている。これ、想像以上にプライドが揺れることみたいです。だから聞いていないふりをしたり、「もういいわ」と投げたりする。覚える気がないんじゃなくて、決まりが悪いのかもしれません。

最後は、記憶のしくみ。歳を重ねると新しい操作が頭に残りにくくなるのは、自然なことだそうです。「覚える気がない」のではなく、「覚えたくても残りにくい」。そう思うと、少しだけ矛先が下がります。

相手も自分も、どっちも悪くない。この一文を握っておくだけで、次の一回がふっと軽くなります。


「完璧に覚えてもらう」をやめる

いちばん効いたのが、これでした。

以前の私は、帰省のたびに「あれもこれも」でした。LINE、写真の撮り方、電話のかけ方、アプリの更新。半日で全部詰め込もうとして、母は混乱、私はイライラ。今思えば最悪のやり方です。

問題は教え方の細かい技術より、そもそも「全部使えるようにする」を目標にしていたことでした。ゴールが高すぎたんです。

知恵袋に、こんな相談がありました。

初めから〝やり方を覚える″つもりがなく〝やってもらう″つもりで聞いてくるのです。

Yahoo!知恵袋

読んだとき、「うちも同じだ」と思いました。でも見方を変えると、親にとっては「自分でできる」より「あなたにやってもらえる」ことのほうが、うれしいのかもしれない。

そう気づいてから、目標を思いきり下げました。「今は、LINEで孫の写真が見られればOK」。それくらいです。

そうは言っても、いつまでも私がやってあげるわけにはいかないんじゃ……。

そう思いますよね。だから“全部”はやらない。どこまでを自分でやってもらって、どこからは人に頼るか。その線引きの話は、このあとの4つ目・5つ目でします。

ちなみに、1回に1つだけ教えるとか、メモを本人に書いてもらうといった具体的なやり方は、親にスマホを教えるコツのほうに詳しく書いています。ここでは「そもそも完璧を目指さなくていい」とだけ、頭の隅に置いてもらえたらと思います。


カッとなりそうな瞬間の、逃がし方

気持ちの持ちようだけでは、どうにもならない瞬間もあります。私がやっている、その場しのぎのコツを3つ。

「3回は聞かれて当たり前」と、先に見積もっておく。 1回で覚えてもらえる前提でいるから、2回目でカチンとくる。最初から「3回はいく」と思っておくと、怒りの初速が落ちます。

煮詰まったら、その場を離れる。 「お茶いれてくるね」と言って、30秒でいいから台所に立つ。物理的に離れると、不思議と声のトゲが取れます。私はこれで、母に当たってしまう回数がだいぶ減りました。

教える時間を区切る。 「今日はこれだけね」と決めてしまう。ダラダラ続けるほど、お互い消耗して、終わりのころには二人ともぐったり。短く切り上げたほうが、次もまた付き合う気になれます。

知恵袋にも、何度も教えているうちにだんだん面倒になってきた、という声がありました(Yahoo!知恵袋)。あのウンザリした感じは、我慢が足りないからじゃなくて、終わりが見えないからなんですよね。だからこそ、自分のほうで区切ってあげる。

正直に言うと、私は今でも時々カッとします。ゼロにはなりません。でも「離れる」を覚えてからは、引きずる時間がずいぶん短くなりました。


教える人を、自分ひとりにしない

ここが、私が一番伝えたいところです。

教えるのは“家族の自分”じゃなきゃいけない、と思い込んでいませんか。私はずっとそう思っていました。

知恵袋に、印象に残った相談があります。教えても覚えてもらえず、かといって教えるのを途中でやめれば今度は薄情だと責められ、トラブルが起きれば自分のせいにされる。板挟みで疲れきったその人は、最終的に、キャリアの24時間サポートや遠隔操作に切り替えることを考え始めた、と書いていました(Yahoo!知恵袋)。

これ、大事な発想の転換だと思うんです。「私が教える」から「教えてくれる人を増やす」へ。 それだけで、肩の荷が半分おります。

頼れる先は、こんなふうに使い分けられます。

  • まずはお金をかけずに → 近所の携帯ショップの初心者向け教室や、顔なじみのスタッフ。私の母は、近所のドコモショップの店員さんと顔見知りになってから、ちょっとした質問はそちらで聞くようになりました。「私じゃなくてもいいんだ」と思えたとき、ずいぶん気持ちが軽くなりました
  • 親が「他人には聞きづらい」タイプなら → 自治体や公民館のスマホ講座。まわりが同世代の初心者ばかりなので、子どもに聞くより気楽なようです
  • 離れて住んでいて、すぐ駆けつけられないなら → キャリアの遠隔サポート。画面を見ながら操作を手伝ってもらえます。詳しくは親のスマホを遠隔サポートする方法にまとめました

うちの親、他人には余計に聞きたがらないんだけど。

そういう親御さんこそ、最初の一回だけ一緒に行って、スタッフに「母です、よろしく」と紹介しておくといいです。顔見知りができると、次からのハードルがぐっと下がります。


スマホ以外の、つながり方

そもそも、スマホにこだわらなくてもいいんです。

私は途中で一度、母にスマホを教えるのをあきらめました。でも「連絡が取れない」のは困る。そこで使い始めたのが、AmazonのEcho Show(エコーショー)というスマートディスプレイでした。

「アレクサ、〇〇に電話して」と話しかけるだけでビデオ通話がつながるので、画面をタップする必要がほとんどありません。スマホの操作でつまずいていた母が、今はこれで私の顔を見ながら話せています。設定のやり方はEcho Show高齢者向け設定ガイドにまとめました。

そもそもスマホ自体を持ちたがらない親もいます。知恵袋には、母にスマホを渡そうとしたら要らないと断られて悲しくなった、という声もありました(Yahoo!知恵袋)。ただ、その母は洋服が大好きだったそうです。「必要だから」で押すよりも、好きなこと(孫の写真、好きな歌手、通販のお買い物)を入口にすると、案外すっと興味を持ってくれたりします。

でも、スマホをやめたら結局、連絡が取れなくなるんじゃ……。

やめる、というのは「つながりを切る」ことじゃありません。手段を変えるだけです。電話とLINE、写真が見られれば、離れて暮らす親子には十分。全機能を使いこなす必要なんて、どこにもないんです。

なお、帰省のタイミングでまとめて設定してしまうのもラクです。よく使う連絡先をホーム画面に置く、文字を大きくする、いらない通知を切る。このあたりを一気に片づけておくと、あとが楽になります。具体的な手順は帰省時にやるべき親のスマホ設定リストにまとめてあります。


まとめ

親にスマホを教えていてイライラしてしまう。その気持ち、痛いほどわかります。でも、まずはイライラする自分を責めないでください。何度も同じことを聞かれて平気な人なんて、いませんから。

今日からできる一歩は、たとえばこんな感じです。次に親から質問が来たら、「全部覚えてもらおう」を手放して、1個だけ一緒にやってみる。カッとしそうになったら「お茶いれてくる」で30秒離れる。それでも重かったら、近所のショップに一緒に行く日を、カレンダーに書き込む。

お正月、こたつで母が「このLINE、どうやるんだっけ」と聞いてくる。前なら「昨日も言ったでしょ」ととがった声が出ていたところを、今は「あー、それね」と隣で一緒に画面を触れる。母が「あんた、最近怒らなくなったね」と笑う。私が目指しているのは、そのくらいの距離感です。

イライラして親子がギクシャクするくらいなら、「できる範囲でいい」と割り切る。それも、りっぱな答えのひとつだと思います。